雑誌掲載履歴 埼玉県春日部市|荒谷デンタルクリニック|歯列矯正・嚙み合わせ治療専門

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当院の院長の論文が、歯科専門の雑誌に掲載されました。

 「ザ・クインテッセンス」別冊 1月号

quint01 顎口腔システムから「咬合」を理解する
第1回顎口腔システム

連載のはじめに、まず、これから6回に分けて紹介させていただくBioesthetic Dentistryで咬合治療を受けた患者の術前・術後の顔写真を3例呈示する(図1~6)。これらの症例は、患者の主訴が口腔内に留まらず、顔面頭頸部にまで及ぶ慢性疼痛、機能障害に悩まされ続けたという点で共通している。術前に認められた眼の周囲や頬の顔面表情筋の緊張が術後には消退し、リラックスした術後の笑顔に気付かれただろうか。 これらの患者は何から解放され、体の中の何が変化したのだろうか。
筆者がこのような患者の咬合治療の指針としている「生物学的・システム論的視点から咬合を捉える "Bioesthetic Dentistry"」について、そのエッセンスを抽出して解説してみたい。・・・続きを読む

 「ザ・クインテッセンス」別冊 2月号

quint02 顎口腔システムから「咬合」を理解する
第2回予備的咬合診査

はじめに——診断・診断・診断
ある投資会社の宣伝文に、「当社は一人ひとりのお客様のその都度の成功をもって当社の成功と考えます」というのがある。われわれ歯科医師も、「一人ひとりの患者のそれぞれの治療の成功をもって自分の成功」と考えるべきであろう。
将来、自分はどんな臨床をしたいと思い描いているのか、そのビジョンを考えることが重要である。
現在の自分の臨床がどうであるのかを考える必要はない。ただし、目の前にある問題は、われわれが従来適用してきたレベルの考え方では解決できない可能性があることは認識すべきであろう。

1. Bioesthetic Dentistryにおける診断過程
「計画に失敗することは、失敗そのものを計画することを意味する」。われわれは、治療計画により多くの時間を割き、実際に手を動かす時間をより短くすべきである。また、いわゆる「検診」と診断はまったく異なる。多くの歯科医師は診断を種極的に行おうとはしない。なぜなら、それに対する報酬は期待できないと考えているからである。事実、歯科における保倹診療報酬は、そのほとんどが治療行為に対して支払われるものである。
しかし、顎口腔システムにおいて包括的で適切な治療を行うためには、それ以前に正しい診断がなされていなければならないことに疑いの余地はない。そして、正しい診断を行うためには、顎口腔システムにおける最適な健康状態の認識が必要不可欠である。
そこで、従来までの歯科治療を医学的に必要性の高いもの、つまり緊急性の高い治療(remedial treatment)と、患者の自由裁量権による、より選択的な治療(elective dentistry)とに区別する必要がある。なぜならわれわれの臨床は、多くの異なる人々から構成され、それぞれの人々がもつ歯科医療のイメージや価値観も異なるからである。・・・続きを読む

 「ザ・クインテッセンス」別冊 3月号

quint03 顎口腔システムから「咬合」を理解する
第3回Bioesthetic Dentistryの第一原則
:Stable Condylar Position

はじめに——システム思考
われわれが扱う顎顔面口腔領域は、生体のなかの1つのシステムである。システム論的思考(systems thinking)によれば、システムの構成要素はすべてがシステムの目的実現のために何らかの形で秩序だっている必要がある。顎口腔システムの重要な目的の1つは、エネルギー効率の高い咀嚼機能を永続させることであるが、構成要素である歯列と顎関節が不調和をきたしている状態を放置したままでは、その実現は不可能であろう。

1. なぜ、第一に顎関節を安定させる必要があるのか
正常な機能としての嚥下時に、下顎が挙上されて上下歯列が咬頭嵌合すると、頭蓋の3か所、つまり左右の顎関節と歯列の咬合面に負荷が加えられる(図1)。このときに発生する力学的エネルギーは、顎口腔システムのなかでどのように伝播されるのだろうか。
噛みしめ時に咀嚼筋から発生する力学的エネルギーの伝播は咬合面のエナメル質から始まり、歯根膜内で主応力線を変換して歯槽骨内に分散し、上下顎骨の輪郭を構成する皮質骨で負担され、その後に上顎骨、そして顎関節から頭蓋へと至る。
Osteopathyの分野における研究では、頭蓋底を構成する骨群もその影響を受け、エネルギーが伝播されるたびに、縫合を介してつねに運動を繰り返していることが確認されている(図2)。このとき、顎関節と咬頭嵌合位が調和していれば、1日約600回行われる嚥下時に生じるこのエネルギー伝播により、歯・歯根膜・歯周組織・顎関節のみならず,上顎骨・側頭骨や頭蓋の縫合も含めた頭蓋下顎関節複合体の組織構造を再配列し、安定させることが可能となる。
この安定化を頭蓋顎顔面領域における生物学的平衡(biological equilibrium)と呼ぶ(図3,4)。これこそが、Bioesthetic Dentistryにおいて第一に顎関節を安定・・・続きを読む

 「ザ・クインテッセンス」別冊 4月号

quint04 顎口腔システムから「咬合」を理解する
第4回下顎の回避パターンとコンタクトガイダンス

はじめに——包括的咬合治療とは
自然は個体の咬合機能のために精巧なプランを提供してくれる。今までに述べてきたように、歯はシステムの中の一部分に過ぎない。包括的咬合治療の基盤は、歯科医師が今起きている問題が歯だけではなく、顎口腔システムという1つのユニットのなかでいかに顎や筋の機能まで影響を受けているのかを認識することである。そして、このユニットに最高レベルの安定・健康・快適さを確立させるには、これらすべてのコンポーネントは調和のなかで連動していなければならないこともすでに述べた。
構成するどこかの部分がバランスを崩せば、当然全体のシステムはその影響を受ける。心臓病や糖尿病と同様に、起きている障害を明白に意識できるまでには長い年月を要することだろう。重要なのは、包括的咬合治療を施す時期が遅くなればなるほど、患者を最適な健康状態へ戻せる可能性が低くなることである。最小限度の保守的な治療で最適な健康状態を確立させるための最大の鍵は、歯科医師が徴候レベルで起きている問題を看破し、可能な限り早期に介入できるかにかかっていると筆者は考えている。

1.咬耗に関する考察
従来の歯科医学では、咬耗は避けることのできない"加齢現象"の1つであると認識されてきた。日常臨床において、1本の歯の咬耗すらない患者に遭遇することは稀有なことであろう。実際に多くの患者の歯は咬耗し、なかには、若年者も含めて象牙質に達するほどの咬耗を有している(図1)。とくに年配者では、髄腔内まで咬耗していることもある(図2)。
ところで、歯冠を構成するエナメル質は再生能力をまったくもたない組織である。生体にはこのほかに再生能力が非常に乏しい組織として、心筋組織と中枢神経組織を挙げることができる。その組織の再生能力が他の組織より一層乏しいということは、その組織は他の組織よりも生体にとって、より重要性・・・続きを読む

 「ザ・クインテッセンス」別冊 5月号

quint05 顎口腔システムから「咬合」を理解する
第5回Bioesthetic Dentistryの第二原則
:固有感覚性アンテリアガイダンスの確立

はじめに
自然における最高レベルで健康な顎口腔システムの姿を深く調べていくことは、それ自体、行く手に多くの発見を伴う果てしない旅のようである。その旅に必要なものは、自然に対する好奇心と理解への飽くなき探求心だけである。驚異の蕾が開くとき、われわれ生物学に生きる歯科医師は、今まで不可能であると認識されていたことを実現できる可能性がある。今回は咬合に関する固定観念というサングラスを外し、人間の顎口腔システムにおける、誕生から永久歯列完成までの約12年にわたる神秘的で、奇跡的なドラマを眺めていくことにしよう。

1. Proprioception(固有感覚)とは
生体に備わる感覚の種類を感覚器の存在部位に従って分類すると、以下の3つのグループに分けられる。1つ目は嗅覚、視覚、聴覚、平衡感覚、味覚などの脳神経が関与する感覚で、これらは「特殊感覚」と呼ばれる。2つ目は自律神経が司る「内臓感覚」と呼ばれる感覚で、内臓痛覚と臓器感覚からなる。3つ目は、感覚神経が司る身体組織、すなわち皮膚、粘膜、筋、腱、骨膜、関節嚢などに存在する、さまざまな受容器の興奮が体性感覚神経によって中枢に伝えられて生じる感覚で、「体性感覚」と呼ばれる。この体'性感覚のなかで、生体自らの運動によって、主として関節や筋などに存在する深部受容器が興奮して生じる感覚をproprioceptionと呼ぶ。
Proprioceptionという語は、ラテン語で「自己自身の」を意味する"proprius"を語源とする生理学用語で、固有受容とか固有(受容)感覚と訳される(以下「固有感覚」)。
たとえば、目を閉じて両手をたたき合わせてみる。
特に驚くことではないであろう。しかし、これを実行するためには、どの瞬間においても目の前に広がる透明な三次元空間座標上のどの位置に左右の手があり、どのようにそれらの手を動かせばよいのか、・・・続きを読む

 「ザ・クインテッセンス」別冊 6月号

quint06 顎口腔システムから「咬合」を理解する
第6回Bioesthetic Dentistryの第三原則
:遺伝的歯冠形態

はじめに
科学とは基本的に「こうあるべきである」という意見を議論する学問ではなく、「こうである」という事実を明らかにする学問である。ここでいう常識的な事実の意味とは、われわれが確実に真だと知るものである。しかし、あることが確実に真であることをわれわれはどのように知ることができるのだろうか。
自然はそれを知るための情報を簡単には与えてくれない。われわれにできることは、自然のなかで最善の観察をし、適切な問いを立て、その内容を験証することだけである。
したがって、自然科学の一分野である生物学における事実とは、十分に験証された生体の観察内容である。この定義がいかに曖昧であっても、これ以上の特徴づけは科学だけではできない。覚えておくべきことは、われわれは知識や権威そして信念というレンズを通して、同じ現象について異なる見方をする可能生があること、そして自然は、われわれの“こうあるべきである”という思惑をしばしば裏切るということである。

1. 生物学における形態と機能の関係
いかに歯冠修復が審美的とされるような外観であっても、それが顎口腔システムを破壊するようなものであれば、それは機能的に美しくないどころか、むしろ醜悪だといえるだろう。患者に対して、良好な機能を伴った審美を与えるのが今日の歯科医学の課題であることは疑いのないことである。良好な機能を確立するために、われわれはそれに付随する形態についても考えないわけにはいかない。なぜなら、機能と形態には非常に密接な関係が存在すると考えられるからである。
形態と機能の関係に関しては、19世紀後期のシカゴにおける建築工学の分野で活躍し、現代の超高層ビル技術の基礎を築いた建築家,Louis Henri Sullivanの、「形態は機能に従う」という言葉が有名であ・・・続きを読む

 「ザ・クインテッセンス」別冊 7月号

quint07 顎口腔システムから「咬合」を理解する
第7回生物学的・システム論的視点による
フルマウスリコンストラクションの実際
ケースプレゼンテーションに学ぶ
Bioesthetic Dentistry

連載総括にあたって
Bioesthetic Dentistryにおける審美(esthetics)とは何を意味するのだろうか。今日、Bioesthetic Dentistryが患者に提供するのは、2つの生物学的審美(bioesthetics)の世界、つまり治療後の自然で美しい笑顔と、最適な健康状態が永続する機能美である。それは、いわば色調(shade)がつくりあげる審美(cosmetic beauty)ではなく、機能に裏打ちされた形態(shape)がつくる自然におけるあるがままの美(natural beauty)だということである。筆者は、本誌において過去6回にわたり、生物学的・システム論的視点から咬合を捉える“Bioesthetic Dentistry"の理論背景について述べてきた。
最終回となる本稿では、矯正治療後にBioesthetic Dentistryによる全顎補綴治療を施し、顎口腔システムにおける最適な健康状態を確立、これにより諸症候が消失して自然な笑顔が得られ、その健康状態を長期にわたり維持している症例について解説し、本連載のまとめとしたい。・・・続きを読む

 「ザ・クインテッセンス」別冊 10月号

quint10 特別企画・パラファンクションから歯列と顎関節を守る
ナイトガード製作の一考察
その理論と製作の実際

はじめに
日常臨床において、臼歯部に装着したポーセレンの破折や繰り返し生じるインレーの脱離、さらには最後臼歯部インプラント上部構造の破壊などのトラブルは、決して希有なことではないだろう。それに関して議論となる代表的なテーマには、①機能時において装着した補綴物を破壊から防ぐためにどのような材質を用いるべきか、②非機能時、とくに夜間のパラファンクションから装着した補綴物を守るにはどうしたらよいか、の2つが挙げられるだろう。
そして、これらに対する解決策としては、それぞれ、①’大臼歯部咬合面あるいは大臼歯部におけるインプラントの上部構造には可能な限り割れにくい材質を用いることが賢明だ、②’睡眠時にナイトガードを装着させる、という提言が出されることが多いようである。しかし①’は、たとえばポーセレンの破折という現象やインプラントを適用した理由である欠損歯に至った根本的な原因論が議論されないままの対症療法的な提言のように思われる。たとえ材質を変えたところでポーセレンを破折させるエネルギーを減少させられるわけではないだろう。
②’にしても、製作時に起こりうるある重要な現象を見落としたまま、ただやみくもにナイトガードが製作されている感が筆者には否めない。
そこで本論文では、先に挙げた2つのテーマに共通する根本的問題点を踏まえ、多くの日常臨床で導入されているナイトガードあるいはマウスガードの問題に焦点を絞り、その解決法に関する筆者の考えを紹介してみたい。・・・続きを読む

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