悪い歯並びはなおした方がいいでしょうか?もちろんです。 大きな理由は2つあります。ひとつは、健康面からです。口にはいろいろな機能がありますが、その中の大切な機能に、咀嚼(そしゃく)があります。 咀嚼は、28本の全ての歯が揃ってはじめて完全に行うことができるのです。各々の歯は、その機能を分担してるんですね。まず、前歯でものを適切な大きさにかみ切り、次に小臼歯の部分で細分化し、硬い粒は後ろの大きな奥歯(大臼歯)でペースト状にされます。そして重要なのは、口は単に食べ物を細分化するために歯を用意しているのではなくて、だ液とよく混ぜたペーストをつくる場だということなんです。 だ液の中にはガン抑制因子が含まれていることも分かってます。さらにだ液にはまだまだ科学で解明されていないすごい力も備わっているんですよ。ひとつの食塊を何十回も口の中でかんでいると、口の中に存在するセンサーが感知して、脳のほうへその情報を送ります。それから脳は次の行程(消化)を行うために、胃のほうに準備をするよう指令が行くのです。胃は、だ液と十分に混ざったペーストが食道からおりてくるものとして準備しています。ところが、咀嚼不十分な食塊が胃に届くと、胃はオーバーワークになり、胃自身を痛めてしまうんですね。
もうひとつは、歯並びがよいほうが、絶対的に他人への印象がよくなるということです。特に西洋文化圏では、歯並びがいいと、ステータスの高い仕事に就くことも可能です。それだけ自分の体に責任を持ってるわけですから当然だと思います。欧米人にとっては、ブランド品より自分の体のほうがプライオリティは上だということは、当たり前のことなんですね。
当院で行っている矯正治療は、見た目の歯並びのみを治す方法ではありません。「かみ合わせ」の機能を治すための矯正治療です。機能を治せば自ずと美しい歯並びになるのは当然なことです。
写真1&2:この患者さんは26歳の女性です。実は高校生の時に一度大学病院で矯正治療を行っているのです。しかし、その後の咬み合わせの調子が悪く、あごの痛みや筋肉痛に悩まされてきたそうです。また、前歯が前に飛び出てきて、隙間がどんどん大きくなってきた。さらに歯がどんどん摩耗してきた(真ん中から数えて3番目の歯である犬歯がだいぶ摩耗しているのが分かります)ので心配になり来院されたそうです。初診時は歯科医療に相当な不信感を抱かれていました。当然だと思います。
写真3.顎関節に問題があったため、矯正治療後、スプリント治療に入りました。特殊なMAGOスプリントというものを用いて治療を行いました。 写真4:最後に前歯と犬歯にコンポジットレジンという歯と同じ色の樹脂をつけて摩耗して無くなってしまった部分を回復してあげました。